アントニオ・ロペス

現代スペイン・リアリズムの巨匠アントニオ・ロペスの作品展を観る。
鉛筆画のひとかと思ってたのだけど、油絵も彫刻もエッチングもあった。50年代から現在に至るまで生み出された作品の数々。貫かれているのは被写体への敬意。
あの優しい色彩と、穏やかに流れる空気感は、そんな思いの現れなのだろう。
マドリードの目利き通りを描いた『グラン・ビア』は74年から81年までの期間を経て作成された。本人のインタビュー映像によると、夏の同じ光が必要だから毎年8月1日に描いたという。そんな作り方をするので、一度にたくさんの仕事をしていると言っていた。
私は28年の年月を費やして完成したという『ルシオのテラス』が気に入った。原色ではないバラがテラスに絡まっている。すすけたような赤の地面、金属の手摺り、遠くに霞む街並み、どこもかしこも美しかった。
光を大事にしているアントニオ・ロペス、自然光だけではなく冷蔵庫の白々とした蛍光灯まで魅力的に見せている。簡素な住宅を彼の目を通して見ると、こんなにまでアートになってしまう。懐かしいような取り残されたような寂しさも感じた。
リアリズムと一言では表現しきれない、素晴らしいものだった。
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愛さえあれば

スサンネ・ビア監督はデンマークのひと。2010年の『未来を生きる君たちへ』は物凄く重い作品だった。復讐をテーマにして、観る者の良心を問うような厳しさがあった。こんなものを撮るひとは哲学的な気難しい老人だろうと思って、監督の写真を見たら非常に美しい女性で、驚いた記憶がある。
そして、この新作『愛さえあれば』はどんな作品だろうと、楽しみに観に行った。
なんとロマンティック・コメディである。デンマークを代表するような名優トリーネ・ディアホルムと007のイメージが強いピアース・ブロスナンを配し、舞台は南イタリアのソレント。素敵な大人のラブロマンスって感じ?と、少し気を抜いてた。
しかしスサンネ・ビアが一筋縄でいくわけはない。ディアホルム演じるイーダは乳癌でウィッグの下の頭はツルツル。最後まで明かされないが、どうも完治してるようではない。夫はお子様系の馬鹿で「君が病気で悲しかった」という理由で浮気するし。
イーダの娘とブロスナン演じるフィリップの息子が結婚することにより、巻き起こる悲喜劇。
多様性があるのが人間である、という温かな視点を持つドラマだった。彩りに使われているレモンが綺麗だ。買い物袋からこぼれ落ちるレモン、フィリップの所有するレモン果樹園、イーダのワンピース、イーダが毎週作るというレモンプリン、娘のパーティードレス、いたるところでレモンが出てくる。
爽やかでビターな香りが届いてくるような作品だった。5月17日より公開。
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ココアフロート

ファーストキッチンでココアフロート。

六本木交差点を眺めるのが定番になった。
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