愛さえあれば
- 2013年5月14日 15:29
カテゴリー: 映画
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スサンネ・ビア監督はデンマークのひと。2010年の『未来を生きる君たちへ』は物凄く重い作品だった。復讐をテーマにして、観る者の良心を問うような厳しさがあった。こんなものを撮るひとは哲学的な気難しい老人だろうと思って、監督の写真を見たら非常に美しい女性で、驚いた記憶がある。
そして、この新作『愛さえあれば』はどんな作品だろうと、楽しみに観に行った。
なんとロマンティック・コメディである。デンマークを代表するような名優トリーネ・ディアホルムと007のイメージが強いピアース・ブロスナンを配し、舞台は南イタリアのソレント。素敵な大人のラブロマンスって感じ?と、少し気を抜いてた。
しかしスサンネ・ビアが一筋縄でいくわけはない。ディアホルム演じるイーダは乳癌でウィッグの下の頭はツルツル。最後まで明かされないが、どうも完治してるようではない。夫はお子様系の馬鹿で「君が病気で悲しかった」という理由で浮気するし。
イーダの娘とブロスナン演じるフィリップの息子が結婚することにより、巻き起こる悲喜劇。
多様性があるのが人間である、という温かな視点を持つドラマだった。彩りに使われているレモンが綺麗だ。買い物袋からこぼれ落ちるレモン、フィリップの所有するレモン果樹園、イーダのワンピース、イーダが毎週作るというレモンプリン、娘のパーティードレス、いたるところでレモンが出てくる。
爽やかでビターな香りが届いてくるような作品だった。5月17日より公開。
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