真夜中のマタドール

毎度のことで、寝られません。睡眠薬と安定剤飲んだのに。
眠気倍増の為、マタドールを作った。テキーラ好き。パイナップルジュースとライムジュースで割る。パイナップルって香ばしい感じ、べっこうあめを想像してしまう。
テキーラはミネラルのせいか塩分を感じる。硬いミネラルウォーターとか海洋深層水に似てる気がする。荒れ地や砂漠のサボテンから採取するんだからパワーが強そう。



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フローズン・グラウンド

ジョン・キューザックの顔を見ると「あ、変態」と思うようになってしまった。ファンの皆様、ごめんなさい。『ペーパーボーイ 真夏の引力』のイメージが強い。
10月5日から公開の『フローズン・グラウンド』でも、変態っぷりを再び披露している。本当にあった猟奇殺人事件の犯人をやってる。
1983年、アラスカ・アンカレッジで逮捕された一人のビジネスマン。彼は計画的に24人の女性を拉致監禁し、性的暴行
を加えたのちにアラスカの荒野へ解き放ち、人間狩りをした。懲役461年で、今も服役中だという。
この犯人を演じるのかジョン・キューザック。追いかけるのがニコラス・ケイジ。なんかよく見るようなキャスティングで安心感がある。ニコラス・ケイジって、いつも善人役なのが不思議。あの人もいつか変態役をやってほしい。
それでこの話、犯人が最初からわかってるとこが面白い。証拠を掴む過程に多くの時間を使っている。生き残って警察からも逃げたがる娼婦の動向と、いつも闇から襲い掛かってきそうな犯人の気持ち悪さ、転職希望の刑事の最後の仕事。ある程度事実に即して描かれているそうだ。
被害女性の本物の写真なども使われている。
犯人の地下室がすごかった。動物臭がこちらまで匂ってきそうなくらい、剥製がたくさん。ここで女性に酷いことをしていた。上では家族と普通に暮らしていたなんて。作り物とはいえ恐ろしかった。
サスペンス映画は秋に続々と公開予定だけど、『フローズン・グラウンド』も要チェック作品。アンカレッジの寒そうな風景が独特の恐さを醸し出していた。



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舌にキノコが生えた 2

 バスに乗っている。午前8時過ぎ。大久保にある診療所に向かっている。夜中の舌キノコはちょっとした事件だった。あたしだけしか知らないけど。あ、電話した医者も知っている。だが奴は大したことないと思ってるに違いない。「手首切っちゃいました」とか「オーバードースしちゃいました」とか、およそ死ぬ気もないくせに、かまって欲しくてたまらない患者から、夜中にかかってくる電話の類いだと思われてるだろう。
 舌のキノコを抜いてからの出血はすぐにおさまった。というか事前に服用してた睡眠薬が効いてきて、ぼんやりしてる間に痛みや出血は緩やかになったようだ。朝になって鏡を見たら、舌は赤紫の不気味な色に変わっててボワっと膨らんでいた。
 診療所が何時からかわからないけど「朝一で来い」と言われたのだから正々堂々と向かってよいはずだ。それでバスに乗った。電車の方が早いけど、目的地は大久保と新大久保と新宿のちょうど真ん中くらいにある。どこの駅で降りても10分は歩かなければならない。それならば近くに停留所のあるバスに乗った方がいい。時間は倍近くかかるが、あたしの家のそばから乗れる。
 一応タオルは口に突っ込んだままにしてる。その方が落ち着く気がする。晴れた日だ。秋晴れって感じ。運動会とか遠足とか、そんな幸せな匂いがムカつく季節だ。キノコ女のあたしは全然幸せじゃないし。
 30分ほどで大久保に到着。古いマンションのような雑居ビルの3階に診療所はある。階段を上がり薄暗い右の奥、看板は出てない。チャイムを押す。中で鳴ってる音は聞こえるが反応はない。携帯電話で時間を確認すると8時50分。ふん、9時ぴったりまで開けないつもりなのか。デパートか貴様は。朝一で来いと言ったのは貴様だ。チャイムを連打する。反応なし。医者の番号にも電話するが出ない。
 仕方なしにビル内をゆらゆらと歩く。タオルを口に突っ込んだ顔色の悪い女は、2階の「ビューティサロン」を覗く。韓国人専用のパーマ屋。いつも不思議なのだ。いまどきの韓国人は整形バリバリの芸能人みたいなのが主流だと思っていた。しかしここの「ビューティサロン」は昭和の雰囲気そのものだ。韓国に昭和ってのもないだろうが。目にツ~ンとくるパーマ液の匂い。貼ってあるポスターは水商売のおねえさんみたいに髪をセットした女。サイドの髪を不自然なほど後ろに流し、化粧は濃く笑っている。凄いアイライン。赤い口紅に青いシャドーも迫力ものだ。働いてる白衣のおばさんはパンチパーマのデブで、トイレ用っぽい茶色のゴムサンダルを履いて、けたたましい声で喋っている。このひとに髪をいじらせようという韓国人がいるのが七不思議だ。
 2階の反対側には24時間営業のアジアスーパーっていう食材店がある。アジアといってもタイの食材ばかりだ。たまにベトナムのがあるくらい。店先で段ボール詰めしてるのは知った顔だった。いつも笑ってるタイ人の男。レジにいたり冷凍の蛙を棚に陳列していたりする。前に青パパイヤを買ったら、バジルシードのジュースをくれたことがある。「サワディークラー」、声をかけられた。「シャワディーコワ~」とタオルを指差しながら応える。喋れなくってすみません、という意味のつもり。不信そうな顔を一瞬見せた男だが、さすが仏教国、またヘラヘラと笑って店内へ戻って行った。
 そろそろいいだろうと3階の診療所へ向かう。再びチャイムを鳴らすと「はーい」と明るい声が聞こえた。金澤さんが出勤して来たんだなと思う。医療事務の彼女はここで唯一まともな人間だ。患者も医者も壊れてる奴らばかり。お金を扱ったり、医者の秘書的なことするひとぐらいは真っ当な方がいいだろう。
 「あら、ルキさん、今日は早いんですね」とドアを開けながら言う。「ひょっとひんひゅーじたひれ」、ちょっと緊急事態でと言ったつもり。出されたスリッパを履く。「先生、ルキさんがいらっしゃっいましたよ!」と部屋の奥にある棺桶のような箱に叫んでいる。「先生、先生!」と棺桶を叩く金澤さん。
 のろのろと棺桶の蓋が開いた。「生還~!」と起き上がったのが、あたしの主治医だ。「いや~酸素カプセルは生き返るよ。君も試してみればいいのに。5千円に負けとくよ」と言う。ひょろひょろの貧弱な髪が変な癖のまま、医者の頭を覆っている。ひよひよ頭のこいつを、これからはヒヨコと呼んでやる。ヒヨコがカプセルに何時間入ってたのか不明だが、生き返ったようには見えない。
 「で、なんだっけ?また死にたくなっちゃった?」、違います、と言いたいがきっと「ひがいまひゅ」になるから黙ってタオルを取り舌を見せる。
 ヒヨコはぱっと見ただけで「こりゃヤバいな」と言う。カルテになにやら書いている。覗くとドイツ語なのか読めない文字だった。「胞子類が寄生してるんだろうね。まあ、そんなに危険なもんじゃないけど、舌はイカレちゃったねえ。壊疽起こしてる1cmか2cmかは切断しないと」
 ひえ~、舌って切るものなのか、っていうか切って平気なの?と疑問と不安は尽きない。
 するとヒヨコは「今はいい義舌もあるから大丈夫だよ。滑舌も良くなるし、歌も上手くなるよ」と言う。本当だろうか、やけくそな気分になった。







※これは完全なるフィクションです。



lukiオフィシャルサイト
http://lukirock.com

真夜中のいちごカクテル

眠れないからマイスリー飲む。少しの高揚感が楽しくなってきた。
いちごリキュールをミルクで割ったものを飲む。このロフトだけ照明つけてると、下の部屋はまるで闇。いちごリキュールはフレッシュないちごイメージとは違う。どちらというと梅酒に近い。ソーダで割ると良さそう。
でも私はいちごミルクの気分。寝る前だし可愛い夢見れそうだし。そんなことを考えながら飲んでたら、あっという間になくなった。つまんない。二杯目も作成。今度はいちごリキュールと無脂肪ヨーグルトにしてみた。これはいい。お洒落なスイーツのようだ。
酒のみの友達がうちに来てくれる際には、食事のあとにご馳走しよう。マイスリーあとでも構いませんが。



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もうやるの?

テレビつけたらムービーチャンネルで『ミッドナイト・イン・パリ』を放映するという。
ブルーレイで買ってしまった私としてみると、もうやるの?って感じ。でも観てしまいそう。たぶん10回目くらいだ。凄い好きな作品。これをつまらないというひとの気がしれない。
一番好きなのはヘミングウェイに主人公が「僕の作品を読んでください」と言ったら「君の作品は不快だ」と言われるとこ。「まだ読んでもいないのに」と異議も唱えると「下手でも不快。上手くても不快。男なら自分が一番だと胸を張れ」とめちゃくちゃなヘミングウェイ。でも私は深く頷いた。だいたい、ものを作る人間同士が仲良くなどできるわけがない。ひとの作品など不快そのものだ。馬鹿にしてるわけではなく、そういうのが本心だと思う。
ウディ・アレンはよくわかっている。



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