2013年9月21日 21:00
カテゴリー: 日記
テレビつけたらムービーチャンネルで『ミッドナイト・イン・パリ』を放映するという。
ブルーレイで買ってしまった私としてみると、もうやるの?って感じ。でも観てしまいそう。たぶん10回目くらいだ。凄い好きな作品。これをつまらないというひとの気がしれない。
一番好きなのはヘミングウェイに主人公が「僕の作品を読んでください」と言ったら「君の作品は不快だ」と言われるとこ。「まだ読んでもいないのに」と異議も唱えると「下手でも不快。上手くても不快。男なら自分が一番だと胸を張れ」とめちゃくちゃなヘミングウェイ。でも私は深く頷いた。だいたい、ものを作る人間同士が仲良くなどできるわけがない。ひとの作品など不快そのものだ。馬鹿にしてるわけではなく、そういうのが本心だと思う。
ウディ・アレンはよくわかっている。
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2013年9月21日 17:26
カテゴリー: luki奇譚
口の中が気持ち悪かった。髪の毛とかウールの毛布から抜けた毛とかがあって取れないような感じ。午前2時40分、真っ暗な寝床に横たわりながら口に手を突っ込んで探った。ちょっとした埃はよく入る。口にも鼻にも目にも。その度、あたしは神経質に取り除く。こういう些末なものでアレルギーっちゅうのは起きるのだよと、誰にでもなく呟く。歯の内側や外側を舌で探っても何もない。喉の奥や舌の裏などを触ってみても毛らしきものはないようだ。
仕方なしに起き上がり枕横にあるライトのスイッチを入れる。しかし寝床のある空中ロフトスペースに鏡はない。意を決して梯子を降り、階下の部屋へ向かう。アルミ製の梯子は温かみのある白色になっているが所詮アルミだ。足の裏に冷たく当たり、一段一段降るごとにカンカンと安い音がする。
あたしの部屋に鏡は三箇所ある。メインは鏡台と兼用のライティングデスクに合わせ壁に設置した、フランス製1920年代の飾り鏡。くすんだ金色の額縁がそれっぽい。雑貨屋ののみの市フェアみたいなときに買ったものだ。もうひとつはマントルピースのある壁に取り付けた錆びた金属製の縁の鏡。マントルピースといったって暖炉があるわけではない。ただの飾りだ。組み立て式のやつをセールで1万円くらいで買ったものだ。あともうひとつの鏡は子供の頃から使ってる姿見。大きいだけのただの姿見。いかにもディスカウントショップっぽい安い木の茶色が嫌で、高校生の頃白いペンキで塗った。何度も棄てようと思ったが、姿見の存在は便利だ。いつもどこかしらに置いておいたら、ペンキの白色がくすみ少しシャビーって感じになって好きになった。
そんな三箇所の鏡、口内を覗く為に撰んだのは姿見だ。ここは照明の当たりが一番強く調節できる。煌々とライトアップされた鏡の前で口を開ける。寝ぼけた自身の顔を見るのはウザいので口内だけを見るように決めてから見る。
驚いた。あたしの舌が変だ。薄い赤色の舌に無数の突起物がある。白くぷよぷよした1ミリ程度のもの。よく見るとキノコのような形状をしている。ひとつが抜け落ちたのか歯に引っ掛かっている。爪でそれを摘んだらキノコは長い糸ような根があり、舌にまだ繋がってるようだった。引っ張ると軽い抵抗がある。思い切って強く引っ張ってみると、ぴちゅんって感じに抜けた。舌に楊枝の先くらいの血が滲む。たいして痛くない。他のやつも抜いてみた。舌に強く根付いてるやつでも引っ張れば抜けた。その度に長い糸のようなものがヒュルヒュルと採取できる。軽い出血などあたしにとっては何でもない。女は毎月血を流すのだ。リストカット慣れもしてるし。
舌のキノコを抜いてたら、ひとつ大物を見つけた。3ミリくらいのやつ。舌の前方にある。これを抜いたら気持ち良さそうだ。爪で突くと強く根付いてそうな抵抗がある。それでも好奇心には勝てずに引っ張った。強い痛みが走る。
その後、大量の血が噴き出した。姿見の中、血を吐いているあたしの姿はグロい。喉にも血液と丸まった舌が詰まるし、パニックだ。近くにあったタオルを口に突っ込んだ。もはやキノコがどうなったか、傷がどの程度なのか、どうでもよくなった。舌の血を止めるのはどうするんだろう、Googleで調べようか、一階に寝てる母に言ったら大騒ぎしそうだから言わない方がいい。知り合いの医者に電話してみよう。夜中だけど。緊急事態っぽいし。
携帯電話のアドレスにある医者の番号にかける。明らかに面倒臭そうな医者の声が聞こえたのを待ち、「舌が痛いです」と言うが「ひたがひたいでひゅ」となってしまう。要領を得ない様子だったが、とりあえず「朝一で来い」と言われる。
口に突っ込んだタオルが赤く染まって行く。朝って何時くらいからなんだろうと思った。
※これは完全なるフィクションです。
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