ブッダ・マウンテン~希望と祈りの旅

中国のリー・ユー監督の新作『ブッダ・マウンテン~希望と祈りの旅』は哀しさと愛情溢れる作品。
08年の四川大地震の日に息子を事故(地震とは関係なし)で亡くした京劇女優と、彼女の自宅マンションの貸し部屋に入居してきた若者三人の変な同居生活。
中国ってこんなルームシェアがあるんだと思った。他人とでも同居できちゃう国民性なのか、経済成長したとはいえお金のない庶民はこんな感じなのか、ちょっとしたカルチャーショックがある。
若者三人は家族との確執を抱えながらのバイト生活。男二人に女一人の仲良し三人組。気難しい女優と反発しながらも、彼女の深い闇を知り、四川大地震で崩壊した「観音山」へ誘う。風光明媚な土地だが、倒壊の残骸は凄まじく心の安らぎには程遠い。
そして四人は仏像の修復作業を手伝うようになる。それぞれが心の傷を癒すかのように。粗暴な彼らの日常に対し、美しい自然の中、清涼な風が吹く様子が感動を呼ぶ。
国は違えど地震を体験し、また仏教に馴染みのある民族ならではの共感を覚えた。
痛々しい青春ものとしても、愛する者を亡くした虚無感を癒すものとしても捉えられる作品だった。
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