大晦日だから言ってみる、後編

IMG_1712.JPG
今年の私的一番のトピックは3枚目のフルアルバム『その瞬間、見えた風景。』をリリースできたことでした。
全16曲という今時多すぎるだろ!ってほどの曲数があります。
沢山入れたくてしょうがなくて、いうより外せるものが無かったというのが正直なところ。大きなドラマを作る為にひとつひとつのエピソードが必要になりました。
ライブでも言いましたが、これは最後の「その瞬間、見えた風景。」というタイトル曲に向かって進むものです。それ以外の選択肢はなかったのです。
恋愛の一場面や、希望やある女性のドラマや世界に対する違和感など、幾つもの物語を丹念に積み重ねる必要がありました。
そうして初めて決着が着くのだと確信していました。
前に向かって歩くことは素敵だし、一直線に進めたらいいけど、そんなのは夢物語というのがリアルです。
キラキラしてりゃいいというのは安易で、哀しみも死もちらっと先に見えるから、今が輝くのだと思います。
そういうのが本当のポップミュージックであり、色んな状況のひとを救える可能性を持っているような気がします。
少なくとも私はそんな音楽に救われてきました。
だからこの作品を発表できたことは、ひとつまた難しい壁を越えたような感じです。
来年はもっと自由になれるような気がしてます。

良ければぜひお試しください。http://lukirock.com/discography
この作品の為に支えてくださった沢山の方々に感謝です。
バンドメンバーさん、、アレンジしてくれた円さん、優秀な凄腕のエンジニアさん、制作スタッフさん、応援していただいたメディア関連の皆様、ラジオ番組をもたせてくださったbayfmさん、そして聴いてくださったり、ライブにもお越しいただいた皆様、そしてもちろん購入してくださった皆様、本当にありがとうございました!
来年も見捨てられないように努力いたします。
どうぞこれからも見守っていてください。

大晦日だから言ってみる、前編

IMG_1711.JPG
ついに12月31日です。世の中は様々な天変地異に政情不安、テロも移民問題も大統領選も目まぐるしく、お隣レベルの事件もたくさん。
みなさまはどんな年でしたでしょうか。

私のことを思い返しますと、ガーッと駆け抜けた一年でした。とはいっても、決して爽快さ溢れるものではなく、ジワジワと耐え積み重ねた時間が98%で、光を感じられたのは2%程度の時間だった気がします。

写真の3冊の本に支えられたと思います。
走ることをテーマにした本ですが、私としては今年の辛さを乗り越える為に必要でした。

村上春樹さんの『走ることについて語るときに僕の語ること』は、私が言うまでもなく名著で、ハルキストに限らず多くのランナーの愛読書になっているものです。
走らないひとの「ただのジョギング本のくせに哲学的で気取ってる」なんて意見も聞きましたが、なんてフザケタことを、と言い返したくなります。
音楽を作る職の私からすると、村上さんの言ってることは全て腑に落ちます。ものを作るって実は物凄く大変で、精神力だけでは闘えないときがあるのです。特に長く続け、ある水準以上のものを作り続けるのは、奇跡のように難しい。冷静で客観的な視点と、エモーショナルな衝動が絶対必要。才能なんて些細な持ち物でしかない。気分が乗らないからとか、神が降りてこないからとか言ってられません。
フィジカルな部分を保ち、常に"作れる"自分でなければならないのだと思います。それには走ることが最適で、レースに出るというわかりやすい目印に向かって積み重ねる作業が、自分の本業のシュミレーションにもなりえるのだと感じます。
なんて、私如きを世界のムラカミと同じ括りに入れてしまうのはあまりにも・・・ですが。
ひとつ、しょーもない感想。この本を最初読んだのは図書館で、その後文庫で購入しました。その時分の感想は、挿入されているお写真、村上春樹さんの脚が非常にランナーといいますか、素敵に感じました。でも私自身はそうなるのは微妙だなぁ、と思ってました。だって一応私はウィスパーボイスの儚い系アーティストでしたから。薄くてか弱いボディ売りです(笑)
でも今日久しぶりに見てみたら「村上さんの脚は締まっててカッコいいな」と思えました。ん?自分がもしや変化したから?
確かに整骨院で脚を見てもらうと「いい仕上がりですね」とか「これがアーティストとしてはギリですね」とか言われます。生脚でいると、スタッフにはしきりに「筋肉が怖いからタイツを履けば」とか言われます。なんか微妙。

スコット・ジュレクの『EAT&RUN 100マイルを走る僕の旅』も何度読み返しただろうと思う本です。ヴィーガンでありながら沢山のレースで勝ち、世界記録を塗り替え続けるウルトラランナー。私はこれ読むまでは魚や乳製品は摂るベジタリアンでしたが、影響受けヴィーガンになりました。だってその方が身体は楽だし、キツいポイント練習もできるようになったから。また彼のピースフルなランニングスタイルや禅的な考え方にも共感しました。お洒落なヴィーガン料理のレシピが載ってるのも素敵で、沢山真似しました。
最後はもちろん岩本能史さんの『100kmマラソンは誰でも快走できる』です。
それまで私はスマホアプリのアディダス先生にコーチをしてもらってました。腕に付けたスマホから「スピードアップします」とか「全力を出し切ってください」とか叱咤激励されながら走ってました。上手くできると「スラムダンク!」などとよく訳のわからないことも言われ、これはこれで楽しかったです。
しかしアディダス先生は天気も体調も関係かく、さあ朝だぞ!早く起きろ!週6で走れ!といい、アメリカンでビクトリー!な感じです。感情の起伏の乏しい日本女子には若干の違和感が・・・
決定的に決別せざるをえなかったのは、電池です。4時間というフルマラソン完走らしき時間が持たないのです。マジ走りしてたのに途中で電池切れになり、アディダス先生が消えてしまったときは悲しかった!ここで見捨てる?って感じです。
そんなわけで、というかどうせならウルトラの時間持つような時計を買ってやる!と息巻いてアディダス先生との蜜月は終わりました。
けれどもその結果、岩本さんの本に出会えたので感謝です。よりハードな世界に身を晒してみたくなりました。
フルマラソンに比べてウルトラには方法論がなくて、どう手をつけていいかわからなかったのだけど、ここには明確に行くべき方向が記されていました。
目指すべきタイム、そのペースを実現させる為の非常に具体的な方法と、メンタルの保ち方や補給術などもわかりました。
私は単純にコツコツやるのは嫌いじゃないので大真面目にメニュー通りにやっていたら、それなりに達成できるようになりました。アディダス先生のようにガチなビクトリー!ではなくて、統計を元に実現可能な未来を示してもらうという、嬉しいものです。
なので新しい世界を見せてくれた岩本さんにはとても感謝しています。
リアルでお目にかかったことはないですが、富士五湖の70kmあたりでお見かけし「頑張れ」と声をかけていただきました。疲れきっていながらも微かなトキメキが(笑)

今年はこんな風な年でした。アーティストとして生きて行く辛さを、走ることで支えて行った感じです。
ネットで「lukiなんて客いなくてガラガラじゃん、あれ需要あんの?」とか「lukiのライブって葬式?早く終わんないかな」とか書かれたのを目にする度に、苦しくて死にたくて泣きたくなりました。
そして本当に強くなろうと思いました。
絶対に価値のある作品を作り、みなさまに楽しんでもらって、必要だと思っていただける自分になりたいと。
必死に駆け抜けた一年でした。
まだ目標にはほど遠いですが、今年得た経験でこれからもやり続ける自信がつきました。
どうしても辞めてくれと言われない限り、自分からは決してギブアップしません。
闘う方法を教えてくださったレジェンドな方々に心から感謝してます!