とても気になる
こんにちは。
最近観て気になった作品をご紹介しています。
今日は『光のノスタルジア』。パトリシオ・グスマンというチリのドキュメンタリー映画監督が撮ったものです。
舞台はチリ・アタカマ砂漠。なんでもここは天文学の聖地のような場所だそうです。乾いた空気に高い標高が星を見るのに敵していて、世界中から学者が集まり研究しています。
銀河を探索し、宇宙の果てを想い、生命の起源を求めるのは神秘的でロマンティックでもあります。
しかしここは悲惨な歴史を経た場所です。
ピノチェト独裁政権下で政治犯として捕われた多くのひとたちの遺体が埋められています。
その砂漠を毎日スコップ片手に掘りに行く女性たち。
行方不明になった夫や子、恋人の骨を探して、果てしない砂漠を掘り続けているのです。砂漠といってもサラサラした砂ばかりではなく、岩盤のように堅い土もあって、彼女たちの作業は先の見えない哀しいものです。
でも死ぬまでやめないと言っていました。
ものすごい作品だと思います。美しい星が輝く夜空と、骨を掘り続ける女性たちのシルエットに胸が詰まりました。
まさに天と地の時間が公差します。
ぜひ多くの方に観ていただきたい作品でした。
同じくグスマン監督の『真珠のボタン』(これも凄いドキュメンタリー)と共に、10月10日から岩波ホールで公開されます。