愛、アムール

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予告編は死ぬほど観た。いろんな映画館でやるもんで。話題の『愛、アムール』、本編をやっと観れた。
ミヒャエル・ハネケ作品は怖い。なんか後から、じわ~っと寒気がするような。『愛、アムール』も同質のものを感じた。
誰も避けては通れない老いというものにリアルに迫ったキツいものだった。80代の音楽家夫婦、インテリジェンスでシックなふたりに訪れる下の世話。美しかった妻はシワシワで訳のわからないことを叫ぶ。車椅子を暴走させたり、まるでシュールでホラーな世界だ。
こういう老いや痴呆を扱ったものって、ふいに正気に戻って「ありがとう」となど言わせて、観客から涙を出させようとするものだが、ミヒャエル・ハネケはさすがに違った。
突然の幕引きの鮮やかさが素晴らしい。私は『ベティ・ブルー』シニア版と呼ぶことにした。小道具はクリネックスだったり枕だったり、猫だったり鳩だったりする。旅立ちを表すもの。
イザベル・ユペールが最後に現れるシーンはとても美しかった。

革命前夜

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ベルナルド・ベルトルッチの初期作品を、イメージフォーラムで観れると聞き行った。
1964年の『革命前夜』を観る。もちろんモノクロ。
スタンダールの『パルムの僧院』を下敷きにしてるという。パルムってアイスクリームのことじゃないよね!程度の頭しかない私。
ベルトルッチは若いときからベルトルッチだった、という感想を一番にもつ。『ラストタンゴ』や『ラストエンペラー』(ラストが好きらしい)などの大作を観たときと同じような匂いを感じる。
主人公の青年は恵まれた環境にいるけど、左翼思想を持っていて、実現には程遠いことに憤る。結局は無難な道に進むことに自らの崩壊を感じる。
そんなウジウジした内容に見えたのだけど、さすがにこの時代だけあって、ヌーヴェルヴァーグらしさに溢れている。フランス語ではなく、イタリア語のナレーションも面白い。白黒、難解な台詞、哲学っぽいナレーションはいかにもそれっぽい。
『革命前夜』以外には『殺し』や『ベルトルッチの分身』も上映中だそう。暇をみて行きたい。