愛、アムール

luki オフィシャルブログ-130312_1818~01.jpg
予告編は死ぬほど観た。いろんな映画館でやるもんで。話題の『愛、アムール』、本編をやっと観れた。
ミヒャエル・ハネケ作品は怖い。なんか後から、じわ~っと寒気がするような。『愛、アムール』も同質のものを感じた。
誰も避けては通れない老いというものにリアルに迫ったキツいものだった。80代の音楽家夫婦、インテリジェンスでシックなふたりに訪れる下の世話。美しかった妻はシワシワで訳のわからないことを叫ぶ。車椅子を暴走させたり、まるでシュールでホラーな世界だ。
こういう老いや痴呆を扱ったものって、ふいに正気に戻って「ありがとう」となど言わせて、観客から涙を出させようとするものだが、ミヒャエル・ハネケはさすがに違った。
突然の幕引きの鮮やかさが素晴らしい。私は『ベティ・ブルー』シニア版と呼ぶことにした。小道具はクリネックスだったり枕だったり、猫だったり鳩だったりする。旅立ちを表すもの。
イザベル・ユペールが最後に現れるシーンはとても美しかった。