ムーンライズ・キングダム
ウェス・アンダーソンの『ムーンライズ・キングダム』を観た。
予告編を何回も目にしてて、絶対観ようと思ってた。
1965年のアメリカ、ニューイングランドの小島、ニューベンザンス島が舞台。ボーイスカウトの男の子と、大きな家に住むキレやすい女の子が逃避行する話。
レトロな衣装や雑貨がそこかしこに散らばって、めちゃくちゃラブリー。ボーイスカウトのキャンプ地に可愛いひとり用テント(時代考証して再現したそう)が並んでる様子は、ヒェ~と叫びたくなるくらいにポップな風景。こだわりが凄い。
実際は人口の少ない田舎の島らしいけど、架空の夢空間を作り込んだよう。色とりどり。
でも音楽がオールディーズやラブラブポップでないとこや、女の子が全然笑わないとことか、あまりアメリカンな軽い感じがしない。
結構重いアウトサイドを歩くふたりが、大真面目に間抜けなことをしてる様子は切実で笑える。ヨーロッパのウィットに近い感じもした。少年少女の生々しさは薄く、象徴的な造形の面白さに徹しているところはさすが。
逆にブルース・ウィリスのイケてない中年警察官っぷりが、可愛かった。
月の昇る王国というタイトルは、ふたりが行き着く美しい入江の名前。秘密な感じ、暗いふたりの希望が見えるようだった。