少女は自転車にのって
サウジアラビアの映画。自転車が欲しい、乗って競争したいと熱望する10歳の少女ワジダの物語。
貧乏だから自転車がないのではない。イスラムの国サウジアラビアだからだ。女性は黒い布で全身を覆う国。参政権もない。トーキョーなどというふざけた場所に暮らしてると全く想像できない世界。
そのワジダちゃんは女性差別の甚だしい国にいながら負けていない。学校の規則は破りまくり。お洒落なヘアスタイルでジーパンをはく。お父さんはたいしてお金もないくせに、近々お母さんとは別の女と結婚するらしい。男の子が生まれなければ男性側は勝手に副婚する国。壁に貼ってある家系図を見ると記されてるのは男性のみ。ワジダちゃんは自分の名前を書いたメモをヘアピンでくっつける。気付いて剥がす父。女は存在を許されないのか、そういうのが当たり前って感じが腹立たしい。
果たしてワジダちゃんは自転車を手に入れることができるのか、彼女の闘いを応援したくなる。撮ったのはハイファ・アル=マンスールという、サウジアラビア初の女性監督だ。男たちの間に立って撮影し、指示を出すと不快感を表すひともいたという。困難を乗り越え出来上がった本作は、一筋の光に見える。単に閉鎖的な国の物語というより、形は違えど問題を抱えるたくさんの国のひとの心も温かくしてくれそうな作品だ。