ある天文学者の恋文

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最近一番感動したもの。ジョゼッペ・トルナトーレの新作『ある天文学者の恋文』。私の琴線に触れまくりで、号泣しました。

トルナトーレ監督といえばもちろん『ニュー・シネマ・パラダイス』です。あの感動は今も色褪せることはなく、万人に共通する何かを与えるものだと思います。
その後も『マレーナ』だとか『海の上のピアニスト』だとかの力作もありました。しばらくぶりのヒットでは13年の『鑑定士と顔のない依頼人』では、彼としては珍しくサスペンスで現役ぶりを見せてくれました。

でも今回の新作は凄い!『ニュー・シネマ・パラダイス』に匹敵するといっても言い過ぎではないと思います。
軽くストーリーをいいますと、大学教授の天文学者と教え子が不倫関係にあるのですが、教授はあっという間に死んでしまいます。
けれど教え子の彼女の方にはLINEやら留守電やらビデオメッセージなどで毎日のように彼から連絡があるのです。おそらく死を予感した彼が現代の通信技術を使い、用意周到に準備したものだと思われます。そこにあるのは不倫とはいえ真実の恋をした男の姿で、その後の彼女を労わる明るいメッセージが残されてます。
しかしある深刻な話題で彼女が傷つき、メッセージの受信拒否(そういう設定も準備されていた)をしてしまい、状況は一転。
教授の家族との軋轢が現れたり、彼女自身のトラウマとの対決だったり。
そんなとき、ひょんなことから教授のメッセージ編集前の動画を見つけます。そこにはいつもの明るくカッコイイ彼ではなく、メッセージの途中で泣いてしまったり病状が悪化して咳込んだりする姿が見えます。どれだけ頑張ってメッセージを作っていたかが垣間見えます。
このシーンはニュー・シネマのラストシーン(カットされたキスシーンのフィルム)みたいに上手い。超号泣です。
けれどこの作品はここで終わりではなく、更に展開が続きます。その先の感動は是非劇場で確かめて頂ければと思います。

天文学者役はジェレミー・アイアンズです。彼は病的でヨレヨレな役が似合うけど、今回の恋にまっすぐな男というのもとても素敵でした。ヒロインはオルガ・キュリレンコ。彼女はボンドガールもいいけど、チェルノブイリのシリアスな映画『故郷よ』が私は好きでした。今回は相手のいない一人芝居のシーンが多くて大変だったでしょうが、凄く迫力ありました。

トルナトーレ作品ではお馴染みのエンニオ・モリコーネが音楽やってます。感動ものはさすがにお得意。っていうか大昔からずっとずっと現役ですね。タランティーノのもやってたし、いつ寝てるんだろう。謎のパワフル高齢者。

9月22日からロードショーが始まります。
ぜひ観てみてくださいね。