コーヒーを巡る冒険
『Oh Boy』というのが本当のタイトル。『コーヒーを巡る冒険』という邦題は上手いと思った。
ベルリンを舞台としたモノクロのドイツ映画。新鋭監督ヤン・オーレ・ゲルスターのデビュー作だ。
ジーン・セバークを思わせるようなショートカット、ストライプTシャツの女の子が出てくる冒頭シーンからして、とてもお洒落。コーヒーを飲みそこね続けるニコのついてない一日が描かれる。車の免許停止、ATMにキャッシュカードは飲み込まれ、アパートの面倒くさいオヤジの泣き話に付き合わされ、昔イジメた同級生(元デブのブス、今は痩せて超美人に激変)のアングラ芝居を見せられ・・・なんてクスッと笑ってしまうような出来事が次々と起こる。
デビュー作らしいイイモノがつまった時間だった。時代を超越したようなベルリンの風景に、ニコという等身大の青年の個人的な冒険が写し出される。人生にの岐路に立ったら、必死に進むのも良し、考え抜いてからにするのも良しなど、色んな選択肢があると安堵させてくれる温かい作品だった。