祝ムーンライト

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アカデミー賞の発表終わりました。

デイミアン・チャゼルが監督賞取った時点で作品賞は『ラ・ラ・ランド』ではなくなったかなと思いました。

バリー・ジェンキンスが監督賞かと予想してましたが反対になりました。
他はほぼ予想通り。
エマ・ストーン、女優賞で安心。
マハーシャラ・アリの助演男優賞は本当に嬉しかったです。

でももちろん『ムーンライト』は素晴らしい作品です。
黒人、ゲイ、ドラッグなどテーマ的な武器が揃ってたのも凄いけど、カラーリストの技術が際立ってました。
重いテーマをアートに美しく見せたところが素敵です。
公開が楽しみです。

こじらせシングルは私もです。

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『エイミー、エイミー、エイミー!こじらせシングルライフの抜け出し方』がそろそろ公開されます。
エイミー・シューマーってめちゃくちゃ全米でウケてる女子で、スタンダップコメディエンヌです。
その実力を存分に楽しめる作品でした。
こういうタイプの女子は今までいなかったかも。
日本の若手女性芸人のウケてる方々はビヨンセになったりショップ店員になったりして面白さを発揮されてる感じですが、スタンダップコメディでは誰かを演じるというものではなく、自分キャラのまま勝負するもののような気がします。
一般の価値観を共有する司会者的な立ち位置で、変なヒトになる訳ではなく面白い状況を提示していくという、かなり上級なテクニックが必要。
エイミーさんはそれが本当に上手い。
バッシングに対してもシニカルになることなく、真正面から対抗して笑わせる感じです。

私はコメディ大好きなので、コメディができるひとが好きです。
男性ではスティーヴ・カレルとかセス・ローゲンとか強者が結構いるのですが、女性は本当に少ないです。
エイミー・シューマーは大注目です。
一応、ラブコメっぽい様相ですが、辛口な台詞が沢山のヒューマニズム溢れるいい作品でした。


話は変わりまして、秋の予定がひとつ決まりました。
東北みやぎ復興マラソン、エントリー完了です。
被災地を走るコース、地元の方々にお会いできる機会、申し訳程度に復興に関われる機会、というものです。
開催される秋に自分がどうなってるのかわからないのですが、がんばります。

今月の山田ルキ子

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Cut3月号発売になりました。
私の映画コラム『小さなスクリーンの中で生きていたい』は47回目です。

今回取り上げたのは『ラ・ラ・ランド』と『おとなの事情』です。
アカデミー賞間近なので、勝手なことを申し上げますが、『ラ・ラ・ランド』は賞レースにおいても強力だと思います。
おそらく作品賞と主演女優賞を獲得するのではと。
『ムーンライト』はいかにもアカデミー賞向けです。素晴らしい作品です。黒人ものでありゲイものでもあり。白人優位をバッシングされるのを恐れた審査員のオッサンたちがこちらにする可能性もあります。または監督賞にいくかも。
『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督の才能が『セッション』時より10倍にも開花したことはわかります。でもこの作品の題材自体がスタッフや役者の魂に火をつけてしまい、勝手に凄い作品に仕上がった感じもしたりして。だから監督賞は『ムーンライト』のバリー・ジェンキンスかなと。

『ジャッキー /ファーストレディ 最後の使命』はいい視点でした。ナタリー・ポートマンは年々ドスが効いてきます。可愛かったマチルダの面影は消え失せ、社会革命家のような凛々しい面立ち・・・私も彼女と同じヴィーガンだし、ああいう風にはならないように・・・いえ!あんな強い現代女性を目指さねば。

個人的に好きな女優はイザベル・ユペールやルース・ネッガなんですが。

やはりエマ・ストーン強しです。彼女の演技には泣かされました。そんなにいい女優だったっけ?と驚くほどです。

また今週木曜のbayfmラジオ”luki シンガーソングランナー”で喋ります。
何気に今季の私的イチオシ作品『おとなの事情』についても、順を追ってご紹介したいです。

何はともあれ、ぜひご鑑賞の参考にご一読ください。

『お嬢さん』に見るエロ表現考察

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最近は映画ヒョーロンカなどと言っていただけることもあり、すっかりその気になってしまう私です。しかし、ど素人の映画オタクです。
ただひたすら新作映画を見続け、気になったものは、その関連の過去作品を自宅で片っ端から制覇する"理論よりも本数"な体育会系映画オタクです。そうすりゃ何か見えてくるってスタンスです。
なので今年も数えるのが恐ろしいくらい劇場映画とDVDを観ました。

明日あたりまで試写会巡りをするつもりでしたが、映画会社さんも年末のお仕事があるのでしょう。マスコミ試写は昨日がほぼ本年最後だったようです。
何百本目かわかりませんが、今年の最後に観た新作映画はパク・チャヌク監督の『お嬢さん』になりました。
パクさんっていうと『乾き』や『オールド・ボーイ』のひとです。『イノセント・ガーデン』でハリウッド入りしてますので、韓国映画でありながら、世界を視野に入れたものを作るだろうと予想されてました。
で、出来たのがこれ『お嬢さん』です。

全米でも異例の大ヒット!賞レースも席巻中とのこと。各受賞歴を見てみますと、外国語映画賞、美術賞がとても多い。
なるほど、ビジュアル面で高く評価されてるということですね。

でね、実際観て思ったことが幾つかありました。
確かにパク・チャヌクらしい斬新さとヤバさがずっと続くかっこいい作品でした。イケてます。好きです。
失礼を承知の上に少し申し上げるなら、これは日本では?なポイントが若干あるかも、と。サラ・ウォーターズの『荊の城』を原作としてまして、ヴォクトリア朝時代のイギリス舞台だったものを1939年の日本統治下の朝鮮半島に置き換えてます。莫大な財産の相続権を持つ令嬢(エロ叔父に軟禁されている)とスラム街で育てられた少女と伯爵のフリをした詐欺師なんかが登場して、騙し合いをするようなサスペンスです。
当然といっていいか不明ですが、日本語がバリバリ出てきます。韓国の俳優さんが必死に日本語台詞で演技してます。
みなさま本当にプロ!お上手で文句はありません。
しかしこれはいいの?と感じたのが、エロ語の扱いです。
日本でいうところの放送禁止用語が当たり前の如くガンガン流れてきます。芸術の世界の話だからいいんです!と、もちろん思います。
でも、たとえば男性局部の俗称を"XXコ"というのと"XXポ"というのって、全くニュアンスが違うものだと思うのですけど、いかがでしょう。発するキャラクターや場面によって変えるべきだという気がします。
韓国俳優さんはたぶん馴染みのない発音だからでしょう。平然と日本語の統一したエロ語を多発してます。
モンゴル語とかチベット語の局部名を私たち日本人が発しても、なんの感慨もないだろうことと同じです。だから日本人である私からすると、ここに見えるエロ語のニュアンスが若干ヘンに感じてしまうのです。このキャラがもしコレを言うとしたら、こっちの方がいいような・・・と。ボキャブラリーがもっと欲しくなります。私にエロ語選択を任せてくれたら良かったのに〜、などと思いました。

そしてもう一つ。『ブラック・スワン』とか『アンチクライスト』とか『アデル、ブルーは熱い色』とかの流れの話。女性の自発的な発情シーンが異様に評価され、受賞に至るケースが多いということ。
どの作品も素晴らしいですが、そこ?と思ってしまいます。オッサンばかりが審査員だからそんなとこばかりが評価されるんだよ、と女子目線ではイラっとします。
このチャヌク作品はそれ狙ってますよね?と聞きたくなるような気も少ししました。
女性の自発的性行為のシーンが、なんかリアルというより男性向けアダルトっぽい。
それ、女子的にはイマイチな性表現かも、と感じてしまいました。
大ヒットしたレズドラマの『Lの世界』を思い出してみると、そんなシーンは一回も出てこなかった。あれは女性製作者が女性キャストで女性に向けて作られたものだったので。女性が憧れる性表現をスタイリッシュに見せていたと思います。
もっちりとした太ももがどうのとか、白肌がほんのり桃色に染まりとか、黒髪が乱れるオンナの性(サガ)がとかって視点は、とっても男目線でキモいです。
この『お嬢さん』がその通りだということでは決してないのですが。

そんなこんなで勝手に色々申し上げ、大変失礼しました。
エンターテイメント作品としてはかなりの力があり、今後の賞レースの行方も期待しています。
また公開された暁には多くの方々に楽しんでいただけることに間違いありません。

http://www.ojosan.jp/sp/index.html
今年もたくさんの素晴らしい作品と出会えたことに感謝です。

今月の山田ルキ子

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こんにちは。師走になりましたね。忙しい毎日を送っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
本当にお疲れ様でございます。

山田は鬼のように映画観てます。
クリスマスやお正月に向けての素晴らしい作品が目白押しです。

さてCutが本日発売されました。
私の連載映画コラム『小さなスクリーンの中で生きていたい』は45回目です。
こんなに長く続けられるとは、ありがたい限りです。
そして今回取り上げたのは『トッド・ソロンズの子犬物語』
http://eiga.com/movie/85898/と 『ワイルド わたしの中の獣』
http://www.finefilms.co.jp/wild/す。 トッド・ソロンズは昔から大好きな映画作家で、私の創作にも多大な影響を与えた原点のようなものでもあり、やっと新作について書かせていただける機会が持てて幸せです。
『ワイルド〜』の方は先週ラジオでも紹介させていただきました。クリスマス公開のファンタジックなセクシー映画です。

ぜひご鑑賞の参考にご一読ください。