健全な身体に不健全な魂を宿して〜富士五湖ウルトラ、補給編

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ウルトラでの補給は命づな。これに失敗したら完走はもとより取り返しのつかないダメージを残すものと、かなり慎重に考えました。
前日のツアーバスに乗り込むあたりからウォーターローディングを始めました。写真左下の白い箱、これは電解質水を作るパウダーです。ウルトラランナーの岩本さんが開発に加わっただけあり走るときには最適、痒いとこに手が届くようなものでした。スポーツドリンクみたいに甘過ぎず、経口補水液よりも美味しく吸収がいいです。味はスイカです。ランナーには何故か大酒飲みが多く、レース中に酒っぽいものを連想しないようにスイカ味にしたそうです。確かにレモンやグレープフルーツはサワーを思い出し、二日酔いの記憶と混じって気分が下がりそう。
このパウダーで作った水を行きのバスからレース中まで使いました。
身体により多くの水分を溜め込むことができ、トイレの回数も減ります。美味しいので大量に飲めました。

ステラ・マッカートニーのポーチはデカめですがこれも優秀です。装備がある程度必要なウルトラでは、これくらいの大きさはあっても良いと思いました。
中に仕込んだのは45分毎に入れるエネルギージェル、自作ジェル(米飴にローカカオとマキベリー、マカ、ライスミルク)、BCAAサプリとLグルタミン酸とオルニチン、日焼け止めスプレー、現金、スマホ、クレジットカード、マネーカード、ウェットティッシュ、胃腸薬2種(胃酸抑制、胃粘膜保護)、ロキソニンです。
多分これが私に最低必要な装備。

実際走ってみてどうだったか。
あっさりと撃沈!
予測不可能なことが起こるものです。

まず午前2時に宿で朝食だったのですが、私はヴィーガンの為、食べられないものだらけでした。ミートボールやハムは肉入りオムレツは避け、パックの野菜果物ジュースと納豆、海苔、梅干しでご飯を2杯食しました。
大きなバナナも付いてました。きっとランナー向けにしてくださったのでしょう。けれどお腹いっぱいです。
周りの女の子たちもバナナは入らず、貰ってレース前に食べると言ってました。
私もそのつもりで貰ってレース場へ行きました。
けれどレース直前になってもバナナを食べたい気分になりませんでした。仕方なくポーチに入れます。あとあと役立つだろうと思って。
レース前にBCAAとグルタミンを入れて血中濃度を上げて置きます。
ここまでは順調。会場の女子トイレは空いていて2回も行けたし、万全な体調でした。

そしてスタート。計画通り7km地点あたりから補給を始めます。信号で止まるタイミングでジェルを摂取できるとラッキー。水分は手持ちボトルでチョコチョコ飲んでます。15kmあたりでそろそろサプリ系を入れなきゃとポーチを探ってビックリ!粉が散乱してます。オブラート包みのグルタミン酸が散乱しているよう。ちゃんとジップロックに入れたのに解せません。
でも走りながらなので、詳細を確かめる余裕はなく無事なBCAAサプリだけを摂りました。
おかしいな、おかしいな、と歌いながら走ります。走ってるときはある種パニック状態なゆえ変な語句が頭をヘビーローテーションします。
このときは「グルタミン酸おかしいな」の歌を作りヘビロテです。
ちなみにその後は最近作った自分の曲が順番に頭に浮かびヘビロテです。気が狂うほど繰り返されました。

30km地点で朝残したバナナを食べて、あることに気づきました。
この大きなバナナが凶器だっのです。
ヘタの固い部分がグルタミン酸のジップロックを破ってしまったのです。普段ならそんなことないでしょうが、結構な衝撃を受け続けているポーチ内、バナナのヘタがガツガツと当たったようです。
しかしレース中に打撃を受けている暇はなく、まあそんなこともあるさ、と粉まみれのポーチを払いながら走ります。
でも時間になってジェルやBCAAや電解質パウダーを取り出し度に不安がよぎります。
全てが粉まみれだったのが、そのうち取り出すものがネトネトしてきました。なんだコリャ!何故にネトネト!そんなにアタシは汗っかきなのか。それとも変な液体を身体から出しているのか。さすがウルトラ、体内変化が尋常じゃない。しかしキモい、キモ過ぎる。
などと自問自答しながら走ります。

56km地点のドロップエイドで友人に会ったときも、キモい液体を噴出しているのがバレないように「お疲れさま〜!久しぶり〜!」と明るく言いながらも、ポーチ付近を気にしてコソコソします。ここでは預けておいた豆乳を飲みました。これも岩本さんのオススメです。プロテイン量がメチャクチャ多く、アルギニン?だったかランナー疲労に効く成分も多く含まれていてドロップバッグに入れるものとして最適と聞きました。
これで出発すれば良かったのですが、エイドの高価なエネルギーゼリーの前を素通りすることができず、貰ってしまいました。
走り編にも書いた通り、これが駄目でした。
かなりのボリュームのゼリーがお腹に溜まりあとあとトイレに行くハメに。これは多分ホエイ系成分や人口甘味料が含まれてたよう。
多分自分の考え抜いた補給品だけならそんなこともなかったかなと。ヴィーガンで作った身体はナチュラルな補給でないとバランスが崩れます。

崩れてしまってからは一気にどうでもよくなって、お腹もいっぱいだしジェルの摂取頻度が減りました。どこかでヤバいなと気づいていて、胃腸薬を2回投入。
右のふくらはぎが少しキリキリし始めてロキソニンを投入。その30分後にももう1錠。

後半戦は自分の持久力との勝負でした。もう胃腸はかなりヤラれていてジェルは殆ど摂れません。
エイドで小さめおにぎり、桃の形のお饅頭半分を頂きました。でも味は感じず。身体を待たせる為だけに炭水化物を入れてました。
電解質水も辛くなってきて真水を貰って飲みました。本当はいけないのだけど、口内がもう限界でただの水を欲します。

今思い返してみれば、最後のキツい坂でカフェインジェルを無理矢理でも摂取すべきだったなと。
途中でカフェイン入りはかなり効いた感じがしました。
ただ最後あたりは何も食べたくないし飲みたくない。口から食道や胃まで炎症を起こしている感じです。

でもゴールしたらいきなりお腹が減りました。多分何かが狂ってるのでしょう。
完走証と一緒にくれるアミノバイタルゼリーを一気に食べ、会場内のエイドも一通り寄ってフルーツなど頂きました。

着替えたら異様に寒く、ストーブの前に座り込みました。
するとマッサージサービスの学生さんが、暖かいお茶をくれて毛布まで持ってきてくださいました。ありがたかったです。
帰りのバスが出発するのは19時半。
最後のランナーがゴールするのが19時だからです。でも私がゴールしたのは15時9分頃。
相当な時間をストーブの前で過ごしました。
おかげで隣に座るランナーさんたちと会話できました。
それぞれ長い闘いを終えた者同士、話も楽しかったです。
帰宅後はお腹が空いてグーグー鳴りました。でも何か食べると口内に激痛が走ります。私は普段ナチュラルフード食べてる分、レース後はカップ麺みたいな身体に悪そうなものをどうしても食べたくなります。でも口が痛くて食べられません。
唯一いけたのは生レタス。仕方ないのでレタスにカップ麺の麺を少量ずつ包んで食べました。
最後にネトネト理由、判明しました。
あのデカバナナはグルタミン酸ジップロックだけでなく、ジェル袋も破っていたのです。
水分多めのジェルが一つ、使った記憶もないのに空になってました。
コイツかぁ〜と着替えた後にわかりました。
ついでにこれでスマホは見事全壊です。
想定外のことが起こるのがウルトラ。
少し前よりタフな精神になれた気がします。