はじまりは5つ星ホテルから

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お洒落チックなタイトルの映画。女性監督の作ったイタリア映画と聞いて、ベタなラブストーリーを想像してしまった。実際は違う。
ヒロインは40歳独身の女性イレーネ。一流ホテルのサービスをチェックする覆面調査員で、一年のほとんどを世界中のラグジュアリーなホテルで過ごす。なんて羨ましいんでしょう。高級な服を着て豪華な部屋で寝起きしながらお金をもらえるとは!でも私生活では恋人をなく、自宅に帰れば冷凍食品を温めてひとり食事をする暮らし。
対称的に出てくる妹は生活感バリバリの子持ち女で、「その年で独り身のあなたが心配」などと言われてしまう。
イレーネは旅先で出会う人たちとの交流で、迷ったり傷付いたりしながら将来を考える。自由を選ぶなら孤独死もありえる、なんて厳しい未来も見えつつ、自分らしい生き方を探す彼女に共感してしまった。
現代は一生独身で終わる女性も多いし、離婚してひとりになるひともいる。無理矢理にでも家庭を持てば安住感はあるだろうが、拘束感や惰性は避けて通れない。それにどうしても堪えられないパターンも多いだろう。

少し重いテーマの作品だけど、周りにある景色は美しい。高級ホテルのサービスを体験してるような錯覚も楽しい。いろんな意味で女性的なものだった。