クロワッサンで朝食を

ジャンヌ・モローといえば『死刑台のエレベーター』だ。『突然炎のごとく』かもしれない。他にも沢山出てる。
私は『ニキータ』で初めてジャンヌ・モローをリアルタイムで観た気がする。ダミ声に近いような低い声、独特のエレガンス。ニキータに化粧を教える彼女は闇の女王のようで、フランスの女って凄いなと思った。子供ながら。
彼女の新作は公開中のこれ。

『クロワッサンで朝食を』。女受けを狙ったような邦題。85歳のジャンヌ・モローはお金持ちの気難しいおばあさんフリーダを演じている。
同郷エストニアの家政婦を愛人からあてがわれイライラする。プライドの高いパリジェンヌのフリーダも誰かの助けがなければ生活できない年齢になったのだ。クロワッサンに紅茶の朝食にはこだわりがある。スーパーマーケットの安物では満足できない。家政婦とも揉めてばかりだ。
しかし家政婦アンヌも複雑な境遇をたどってきた女だった。駄目な夫と離婚し、年老いた母を死ぬまで面倒みて、やっと自分の人生を考えられるようになったとこだ。憧れのパリでの仕事が見つかりやってきたのだ。
このふたりの女がどう縁を繋いで行くのか、肉体の愛ではなくなりつつある愛人との関係はどう変化して行くのか。老化と尊厳、嫉妬と憎しみなど女性なら誰でもぶち当たる問題だろう。
フリーダが家でもシャネルの服を着て、大振りのパールのネックレスをしてるのは迫力があった。アンヌにトレンチコートをプレゼントするのは、パリジェンヌの美しきプライドに見えた。
それにしてもジャンヌ・モローは凄い。このひとは死ぬまで女なのだろう。
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