信じるべきか、疑うべきか

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もう三年以上前になるけど、祖母が生きていた頃はほぼ同居状態でした。ほぼというのは、隣だった家に通路を増設して繋げてしまったから。
古い家に愛着を持っていた祖母は新しく建て直すことにはいつも反対して、94歳で死ぬまで汚い家をリフォームしながら住み続けました。広い庭も手入れが大変で、母が手伝いながら何とか暮らしていた感じです。
でも寝たきりにもならず、甘いものが大好きで亡くなる前日の夜まで大福とお饅頭を食べてました。当日朝は庭を散歩して、そろそろ朝食かなってときに部屋のソファーで亡くなりました。
きっと幸せな最期だったと思います。

そんな頑丈な祖母はとても優しいひとでしたが、戦争体験者で物が無かった時代を経験していた為か、ひどくケチで疑り深いひとでもありました。ヘルパーさんやお掃除の方や母でさえ疑い、何がなくなった盗られたと騒ぎます。
私もパールのネックレスを盗んだ疑いを掛けられたことがあります。アクセサリーにさほど興味のない私がそんなことするわけ無いのですが、老人の心は複雑なようで。
おばあちゃんはしょうがないね、というのが我が家の定説でしたが、昨日は「おばあちゃん偉い!」と思えることがひとつありました。
それは駐車場のことです。うちは家の前で数台停められる月極めの駐車場をやってます。
祖母の生きてた頃からの習慣で、ご近所の駐車スペースに困っている方にお安く提供する為のものです。希薄になっている人付き合いだけど、こんなとこで日頃の恩を少しお返しできれば、という意味で続けているのだと思います。
殆どの方はちゃんとしていらっしゃるので問題はないのだけど、そういうのを逆手に取る方もいました。お金を払ってくれないのです。近所だからいいじゃないですか、もうちょっと待ってください、と言われ続けてかなりの金額が滞ってました。
でもそのひとって派手な外車を3台も持っていて随分羽振りが良さそうです。私とたまに顔を合わせると不機嫌そうに睨みます。
祖母には「ここは環境が良くて子育てには最適ですね。素敵なお庭ですね」などと調子よく話していたそうです。
それよりも溜まったお金を払ってくださいという感じです。
堪り兼ねてお電話を差し上げたり、お家に伺ったりもしたそうです。最後は弁護士さんの助けを借りて、いつまでに払う、さもなけらばいつまでに車両は引き上げる、という約束を取り付けました。もちろん払ってくれなくてギリギリの日に出て行きました。変なひとがいるもんだと、少し心が寒くなりました。
あとから聞くと祖母に投資話なども持ち掛けていたようです。人一倍疑り深い祖母は全く話を聞かなかったそうですが。




そして昨日のニュース。そのひとはトンデモナイ詐欺師だったのです。なんでも113億円も騙し取っていたとのこと。
そういえば数ヶ月前に警察の方がみえて、彼のことを色々聞いて行きました。駐車料金を踏み倒した話はしました。もうすぐ逮捕されます、と教えてくれてそれは本当になったようです。
でも祖母が疑り深い性格で本当に良かったと、昨夜は盛り上がりました。
あの調子のいい口車に乗せられ"投資"などしてしまっていたら、私ら家族も路頭に迷っていたかもしれません。それにしても怖い世の中ですね。
身近にそんなことが起こるとは。
疑うのはあまりいいことではないけど、怪しいひとに騙されないようにはしたいものです。

写真は昨夜作ったベジタブルクルマ。
辛味のないマイルドなカレーです。ココナッツミルクとポピーシードが味のポイント。シャキッと辛いカレーの箸休めとして美味しいです。