南アフリカのサスペンス

昨日観た『ケープタウン』はフランス映画。ジェロール・サル監督のこの作品は、全編を南アフリカで撮影されたという。
独特の味のあるフォレスト・ウィテカーと、ワイルド&ダーティーな新キャラのオーランド・ブルームが競演している。アメリカ発のサスペンスとはだいぶ手触りが違い、アパルトヘイトの傷跡や、新種ドラッグの犠牲になる黒人少年たちだったり、ヒューマニズムが感じられるものだった。
オーランド・ブルームのアル中ぶりに親近感を抱く!隠しているバーボン飲むタイミングとか、あ〜わかるな〜って感じ。でも、このひとは駄目キャラやってもかっこいい。イケメンしか許されない何かだろう。
対するフォレスト・ウィテカーはさすがオスカー俳優。深い傷を持ちながら正義に向かって行くベテラン刑事役にばっちりハマる。彼は俳優活動だけではなく去年の『フルートベール駅で』の製作なども手がけている。現代においても黒人ゆえ酷い扱いを受ける不条理を描く素晴らしい作品だった。人道支援活動は彼のライフワークにならざるを得ないのかもしれない。
しかし私は、コメディとかSFとかエンターテイメント性の高いものに出演するフォレスト・ウィテカーも観たい。きっと凄く面白い!次世代のモーガン・フリーマン的な存在ではないかと思う。
『ケープタウン』はひと味違う硬質なサスペンス。ダークな南アフリカの姿を目撃した。8月30日よりロードショー。(山田ルキ子)