「パンケーキ」という言葉にSを付けるか付けないか、のエピソードを聞いたときは背筋がひんやりした。
5月17日より公開される『モネ・ゲーム』。監督は『終着駅トルストイの旅』のマイケル・ホフマン、美術は『ハリー・ポッター』のスチュアート・クレイグ、そしてオスカー俳優コリン・ファースとキャメロン・ディアスが初共演。これが面白くないわけない!
『ファーゴ』の撮影時にゲア役のピーター・ストーメアは台本にある台詞の文法的間違いに気づく。パンケーキという語に不要なSが付いていたのだ。ストーメアは気を利かせ、これを排除して台詞を喋った。すると即座に声がしたという。「Sが抜けてたようだけど」と。
それはもちろん、コーエン兄弟だ。この天才兄弟が生み出す作品は、計算され尽くした脚本が土壌である。文法の間違いや同じ言葉の繰り返しや吃りも、キャラクターを表す為に初めから書かれてあるという。
数々の名作を世に出してきたコーエン兄弟が、また凄いものを書いた。
印象派の巨匠モネの幻の連作があった?作っちゃう?詐欺でもしちゃう?な~んて、観てる方がドキドキするコメディ。
コリン・ファースは名人芸ともいえるドタバタぶりを炸裂している。こんなに面白いひとだっけ?と思った。キャメロン・ディアスは最高にチャーミング。シワやシミなど、彼女の可愛らしさを演出する小道具でしかない。
luki的カメラはアラン・リックマンを追ってしまう。『ダイ・ハード』で観たときから好きだった。性格の悪そうな顔なのに、何処か可笑しい感じがある。『モネ・ゲーム』でも心底腐った悪い奴なんだけど、独特の雰囲気を醸し出す愛すべき悪役。
この名優たちがぶつかり合い、生まれるケミストリーを観られることは貴重だ。完璧な脚本を立体的に構築した『モネ・ゲーム』、劇場のスクリーンでまた楽しみたい。
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