鳳鳴ー中国の記憶

ワン・ビン監督の『鳳鳴ー中国の記憶』を観る。2007年のドキュメンタリー作品。
赤い服を着たおばあさんが、自宅のソファで過去を語る184分。凄まじい長さ。さすが中国映画。
しかし、語られる内容は恋の話でも有名デザイナーの成り上がり話でもない。高校を卒業して難関大学への進学が決まってた彼女が、ドロップアウトして革命に身を投じる話からスタートする。1950年代以降の反右派闘争、文化大革命による迫害、強制収容所で亡くなった夫、世を恨みながら逝った母親、どのエピソードも壮絶極まりない。
ドラマチックな映像を挟んだり、音楽で盛り上げたりするような演出はなし。ひたすら喋る彼女を撮る。大胆なスタイルだ。唯一、夫の回想を話すシーンがアップになっていた。「僕の可愛いひとが可哀相に」と言ってくれた言葉を胸に、何十年もの苛酷な日々を生きてきたのだろう。
中国のリアルを描くワン・ビン監督の最新作がもうすぐ公開になる。そちらも多くのひとに届き、驚愕と感動を巻き起こすだろう。その話はまた後日ゆっくりと。
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