スカイラブ
『スカイラブ』って空の愛?と思ったら違ったようだ。
宇宙ステーションっていうやつの名前。人工衛星みたいなものか。それが落ちてくると予測される、祖母の誕生日に集まった一族の様子が淡々と描かれる。ジュリー・デルピーが監督している。
1979年のブルターニュ地方が舞台。あ、これもフレンチ・フィーメイル・ニューウェーブのひとつ。ジュリー・デルピーの子供時代の思い出をベースにしてるそう。
大家族のガーデンパーティーは凄く楽しそう。育ててる羊をつぶして丸焼きにするとことか、皆がめいめいに歌い出すとことか、近くのヌーディストビーチとか、面白かった。こういうのがジュリー・デルピーさんの子供時代だったのか、フランスってラテンなんだなと改めて思った。
ずっと前に観たジュリーさんの『パリ、恋人たちの2日間』は、淡々とはしていたが恋愛ものだった。風景とか衣装や小道具で、何かを語らせる手法が上手だなぁと思った記憶がある。
『スカイラブ』は更に進化していた。メッセージ性や感動要素を排除して、キャラクターを生々しく存在させることに専念していた。ロバート・アルトマンの群像劇を匂わせたかったらしい。
このひとは綺麗な女優さんとして有名だけど、結構な映画オタクだと思う。派手なものは作らないし、ヒットさせようという意気込みもないんだけど、好きな質感を描いて「うわっ、この感じがたまんない。気持ちいい」と言ってそうだ。
こういう作品って観た直後は何てことないんだけど、何年か経ってから突然、匂いや色など空気感が蘇る類い。私は好きな感じだ。