グザヴィエ・ドラン最新作

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今日は『トム・アット・ザ・ファーム』を観た。
『わたしはロランス』のグザヴィエ・ドランの監督・主演作品。ベネチアでは国際批評家連盟賞というのを、カンヌでは審査員特別賞なるものを受賞している。若いからか、「賞はなにかやりたいが大きいのやるのは悔しい」と思われてんじゃないかと訝しく毎度思う。
私はこのひとは素晴らしいと力説してきたし、ゲイだろうがどこか難ある性格だろうが、これからも応援する。
今回の作品はサスペンス調の不思議なものだった。カナダの劇作家ミシェル=マルク・ブシャールの同名戯曲の映画化だそう。確かに他のドラン作品とは少し違う。田舎の農場というシチュエーションからして、今までの作風と異なる。とうもろこし畑とか牛の世話とか、イメージが全く掛け離れたものだ。だからこそ新しく描きたい世界なのかなと思った。
共通するものといえば、男同士のセクシャルで暴力的な感じ。こういうの、きっと彼のツボなんだと私は解釈している。まあ、アーティストはヤバい深層心理を隠しながら生きて、作品になると爆発するものだから。気持ち悪くてもそうなのだから仕方ない。
内容的には不満のあるひとが結構いそうだ。説明や解説もなく終わってしまうから。
それもいいんじゃないか。わからせてくれなくたって。伝わるものはたくさんある。そんな作品でした(山田ルキ子)